小説

3.5.22 雨降りの休日 しんなりした孤独が染みこんで 

心は孤独な狩人 作者:マッカラーズ,カーソン 新潮社 Amazon 雨降りの休日に新しいダイニングテーブルを買った。これが思いのほか大きくて、一目惚れして買った独りがけソファの座高にあっていない。家具を買うとよくこういう過ちを繰り返す(学ばない)。ま…

3.5.23 路地裏でキラリと光る宝石の欠片のような文章 

オラクル・ナイト (新潮文庫) 作者:ポール オースター 新潮社 Amazon ポール・オースターの小説は日常の根底を覆すようなストーリー・テリングが多く、村上春樹の井戸的深淵に似たようなところがある。私たちが何の疑いも挟まず信じ込んでいる時間の進み、社…

3.5.25 少女ミックの終わらざるを得ない思春期

心は孤独な狩人 作者:マッカラーズ,カーソン 新潮社 Amazon 『心は孤独な狩人』では聾唖(耳が不自由で口が効けない)の男、シンガーが中心となり(人々のシンボル的存在となり)物語が進行していく。彼の周りにいる人々は彼に留保のない好意を抱くようにな…

3.5.17 この汚れた魂と共に生きていくということ 

極北 (中公文庫) 作者:マーセル・セロー 中央公論新社 Amazon 自分の心が汚くなっていくのが自覚できていて、マール・セロー『極北』のいうところの『歳月の梯子を上るどこかの段階で私は、自分の純真な、最良の部分を失ってしまったのだ』状態になっている…

2.12.28 僕の好きな音楽『怠惰と日々』

怠惰と日々 Transit My Youth Amazon ブラック・コーヒーとソーサー。背景は黄色。解説のない俯瞰的一コマ。コーヒーの中にこじんまりと収まる『怠惰と日々』の文字がやけにしっくりとくる。 ややこしいものは何もない。綺麗事は端から相手にはしていないが…

2.12.24 ミス・チョと亀と僕について(書評のような何か)

文学にしろ音楽にしろ、韓国の芸術にはどこかしらグローバルな繋がりを感じさせる作品が多い。『優しい暴力の時代』に収められた表記の作品も、その中の一つだった。主人公の男性は亀と猫のぬいぐるみが置かれたベッドの上で40歳の誕生日を迎え、静かに涙…